消耗品を交換しよう

消耗品を交換しよう

Moto Guzzi 1100sportは吸気方式として、初期型はキャブレター、後期型はインジェクションを採用している。電子制御がバイクへ本格的に取り入れられ始める、そのちょうど境目の時代のマシンだ。僕の乗っている個体は初期型のキャブタイプでノーマルのデロルト製のものがケーヒンFCRに取り換えられている。

気持ちよく乗るためには季節に応じて調整してやる必要があるのだが、僕の腕ではたいていセッティングがきまりきらないまま次の季節がやってくる。キャブレターノートという書籍を見ながらやっているのだが、アクセル低開度がいつも気持ち悪い感じだ。

先日、ネットでFCRのことを調べていると浮動バルブというパーツの摩耗が進むと低開度に悪影響があるというような記事をみかけた。しかもこのパーツ、どうやら年1くらいで交換が必要らしいのだが、恥ずかしながら購入してから一度も交換していない・・・。

ということで、ナップス名古屋店に結構FCRのパーツがそろっていたはずなので見に行ってみると、案の定キャブレターコーナーにちゃんと置いてあった。だけどこの浮動バルブ、薄くて小さいわりに1枚7千円以上する。7千円というとライト目の性風俗を楽しめる金額である。レジの店員さんも「なんでこんなのがライト目の性風俗と同じ価格なの?」みたいな表情で二度見していたほどである。

しかも僕のバイクは2気筒なので2枚分の合計金額は1万5千円程度になってしまう。1万5千円というと、それなりにしっかりと性風俗を楽しめる領域に突入している。さらに国産4発ともなれば3万円近い出費になってしまうから恐ろしい。3万円というと(以下省略)。

肝心の交換作業については、はじめて挑戦してみたわけだが、浮動バルブの交換自体はとても簡単。FCRのフタを取り外して、写真の小さいナットをゆるめるとスロットルバルブと浮動バルブを取り出すことができる。

新旧の浮動バルブを比べてみると、正直素人目にはパっと見そこまで違いはなく、大丈夫そうに見えてしまう。

確かに隅部は表面の処理が取れているようなので、とりあえず交換してみる。背面についているリップシールというゴムもあわせて交換する。

やりはじめてから気づいたのだが、浮動バルブを取り外すと同調スクリューが一緒に動くので2気筒間の同調が狂う。仕方がないので安いバキュームゲージを注文して、今度は同調に挑戦してセッティングをしてみようと思う。

◆◆◆

緊急事態宣言が解除されて、在宅ワークでしばらく出勤していなかった同僚たちが一斉にオフィスにやってきた。僕のほうは仕事の期日に追われて在宅ワークしている余裕がなかったわけだが、また賑やかなオフィスが戻ってきて嬉しいような煩わしいような感じだ。

その日、打ち合わせから席に戻ると、後ろの席の田岡さんが何やら声を荒げている。どうやら共有サーバー内の田岡さんのデータが消えてしまったようだ。

在宅ワークで人のやさしさに触れていないせいか「誰だ!俺のプロジェクトフォルダを消したのは誰だ!」と周りを疑い始めてしまう始末である。あの心優しき田岡さんは、いったいどこにいってしまったのだろうか。

面倒そうなので無視を決め込みたいところだが、席が近いので放っておくわけにもいかない。仕方がないので以前僕が会社の大事なデータをうっかり抹消してしまったときに、どこの会社にも一人はいるデータの番人的な先輩に教えてもらった方法を伝授することにした。

うちの会社は共有サーバーのデータにバックアップ設定がされているため、上図のようにプロパティから1週間前程度前までのデータなら、だれでも簡単に復元することが可能なのである。

ソーシャルディスタンスを確保しつつ復元方法を田岡さんにレクチャーする・・・。どうやら田岡さんのデータが無事に復元できたようだ。

疑念に濁った田岡さんの目にも、いつかの暖かな光が戻ってきた。僕たちの知っているあのやさしい田岡さんが帰ってきたのだ。

◆◆◆

ウイルスが蔓延した世界において、インターネットは僕たちに在宅ワークという選択肢を与えてくれた。しかしながら、文字や音声、映像といったインターフェースでサンプリングされた僕たちの言葉は、コミュニケーションにおける大切な何かを取りこぼしてしまうことがあるようだ。

一度失った信頼や好意はデータのように簡単に復元することはできないらしい。そういった感情は、たぶん消耗品みたいな柔らかいものでできていて、僕たちが能動的に維持しようと努めなければ、だんだんと摩耗していっていつしか消えてなくなってしまうのかもしれない。

ウイルスは僕たちの物理的な距離のみならず、心理的な距離までも分断しようとした。たった2、3か月の間にインターネットは人々の言葉の暴力性を増幅して、誰かにとって大切な誰かを切り裂いた。あのとき、少しずつ離れていく世界を繋ぎ止められたのは、あなたが家族や友人や恋人に向ける、その何分の一かのやさしさでよかったはずなのに。

と、正気に戻った田岡さんが静かに語ってくれた。

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コメント

  1. 良い記事ですね。楽しく読ませていただきました。

    若干、下ネタに振ったところは関西では点数が伸びない傾向があります。(うふっ)
    笑いに厳しい関西人としては、一度目の笑いで辛抱していただきたかったと感じました。(笑)
    と言いながら、とても共感できます。(これも、笑いを増幅させるための関西人の性分・サービスとお受け取りください:笑)

    確かに、コロナによってこれまで見えなかった事、見えていたけどあえて避けていた事(そもそもの自己防衛的なソーシャルディスタンス)などが露呈して、改めて大切な事はなんだろうかと考えさせられました。

    リモートなどのカタカナ文字が台頭し、現在のハイテクバイクと同じような感じですが、キャブレターという手のかかる物の方が、本来の人の在り方なような気がします。

    しかし、浮動バルブが1枚7千円以上って高いですねぇ。
    大阪だと、15分か… うふっ。

    • 前半少し堅苦しかったので下ネタに逃げる悪いクセが出てしまいました。読み返してみると東海人から見ても少しうるさいです。笑
      キャブレターは面白いけど、インジェクションでもっと気楽に乗れたらな、と思うことも多いです。便利さで何かが奪われてしまうのは仕方のないことなのかな。

  2. 知り合いのバイクがキャブ仕様で、譲り受ける時に調整してもらって同調が取れた音を聞いた時、渋い音出してました。空冷4発。あの、音だけは早そうなフォーワンを思い出しました。

    また、何も気にせずバイクに乗って走り回れる日が来ると良いですね。

  3. はじめまして。

    田岡さんに優しさが戻って安心しました。
    東海住みだからでしょうか、とても共感が持てました。少し恥ずかしいです。

    国産4発でも1発か不発に終わることもありえますからね。外国産との相性も考(以下、自粛

    • はじめまして。
      4発でも1発か不発!うまい!そして最低です!笑

  4. そのパーツがそんな値段なんだ!
    4気筒なら金津園

    今回の騒動で
    色々見えてしまったこと
    たくさんありました(継続中)
    良くも悪くも

    マジさんの下ネタは清涼感
    僕は好きです

    • 終息宣言が出たら金津園ツーリングですね。
      各人の気筒数に応じてコースが決定するシステムです。

  5. 4発なら滋賀にも有名どころあります
    若くて可愛いイイお店です(私はいつもの熟系ですが)

    ホンマに在宅は寝るに寝れず食べてばっかりで困ります

    • 僕も1日だけ在宅ワークしたんですが、眠たくってしょうがなかったです。仕事に対する意思が弱くて。
      滋賀出張の機会があったら、ぅるとらさんに4発のお店問い合わせますね。

  6. マジ山田さんの記事いつも楽しく読ませて頂いております。

    FCRのメンテ高いですよね…

    3万あれば滋賀のある温泉街で
    80分間花魁かOLの姉ちゃんに
    跨ってもらい、凹凸が激しい道を行く
    バイクの擬似体験が可能です。

    バイクに跨るのも良いですが
    バイクになり切るのもまた良いものです。

    • 皆さん、下に対するレスポンスがレーシングキャブ並みに秀逸です。笑
      滋賀県はなんだか凄そうですね。

  7. 楽しく読ませていただきました。

    マジ山田さんて、下ネタホイホイ感ありますよねぇ。笑(褒め言葉)
    HAQでマジ山田さん特集しようかなぁ。笑

    • HAQのMyRideStoryに取り上げてもらった際はありがとうございました。
      脇と耳はNGですが、その他は無修正対応可能です。